powered by TechFeed
表示モード
Deep Dive

AIを「大規模な窃盗」と訴えていたGetty ImagesがOpenAIの公式パートナーに — AI著作権問題は「争う時代」から「交渉する時代」へ

6月23日、Digital Trendsが「Getty Images accused AI of wholesale theft. It's now an official ChatGPT image partner.」と題した記事を公開した。AIによる著作権侵害を訴えてきたGetty ImagesがOpenAIと公式パートナーシップを締結したという、AI著作権問題における象徴的な立場の転換を報じている。

6月23日、Digital Trendsが「Getty Images accused AI of wholesale theft. It's now an official ChatGPT image partner.」と題した記事を公開した。AIによる著作権侵害を訴えてきたGetty ImagesがOpenAIと公式パートナーシップを締結したという、AI著作権問題における象徴的な立場の転換を報じている。


訴訟から提携へ——Getty ImagesとOpenAIが手を組んだ

AIによる画像の無断学習を「大規模な窃盗(wholesale theft)」と批判し、法的措置も辞さない姿勢を示してきたGetty Imagesが、OpenAIと公式パートナーシップを締結した。

Getty ImagesはAI著作権問題において最前線に立ち続けてきた企業だ。2023年2月にはStability AIを相手取った訴訟を米デラウェア州連邦地裁に提起し、「Stable Diffusionの学習に際して1200万点超の画像と関連メタデータが無断使用された」と主張した。この訴訟は記事執筆時点でも継続中であり、完全に解決したわけではない。今回のOpenAIとの提携はその訴訟の「和解」ではなく、あくまで別の相手との新たなビジネス判断として位置づけられる。

今回の合意の核心は、Getty Imagesが保有するライセンスコンテンツをChatGPTの検索・発見機能に統合するという点にある。具体的には、ユーザーがChatGPTで画像を検索・発見する場面において、Getty Imagesが管理するプロの報道写真、スポーツ映像、エンタテインメント素材、歴史的アーカイブなどが表示されるようになる。さらに、ChatGPTのインターフェース上から直接Getty Imagesのライセンス購入フローに誘導される仕組みも組み込まれており、単なる「画像表示」にとどまらない収益連動型の統合となっている点が特徴だ。

Getty Imagesの狙いは明確だ。「出所が曖昧な素材に依存するのではなく、品質が保証されたライセンスコンテンツを用いることでAI検索の信頼性を高める」という従来からの主張を、今度はビジネスとして具現化する形だ。


「法廷で会おう」から「一緒にやろう」へ

この提携が持つ意味は、単なるビジネス契約にとどまらない。過去数年間、生成AIをめぐる議論の中心は「AI企業は許可なくクリエイターの作品を学習データに使ってよいのか」という問いだった。Getty Imagesはその議論においてもっとも声高にライセンス方式の必要性を訴えてきた企業の一つである。

今回の合意はその論争に決着をつけるものではない。しかし、「法廷での決着」ではなく「正式なライセンス契約を通じた共存」という選択肢が実際に機能しうることを、業界に示す事例となった。

双方にとってのメリットを整理すると以下のとおりだ。

  • OpenAI側:世界最大規模のプロフェッショナル写真・映像コレクションへのアクセスを獲得し、ChatGPTの画像検索機能の信頼性・品質を向上させる
  • Getty Images側:膨大なライブラリの新たな流通・収益化チャネルを確保しつつ、「AIはライセンスコンテンツで構築すべき」という自社の主張に沿ったビジネスモデルを確立する

なお、契約の具体的な金銭条件(ライセンス料の総額や収益分配の比率など)は公表されていない。


AI×著作権の「停戦」フェーズが始まった

記事が指摘するより大きな文脈として、AIをめぐる産業構造が「争うフェーズ」から「交渉するフェーズ」に移行しつつあるという点がある。

類似の動きはすでに複数起きている。AP通信は2023年にOpenAIとのコンテンツライセンス契約を締結し、ニュース記事のアーカイブをAI学習・活用に提供した。AFPも同様にAI企業との提携交渉を進めており、大手メディア・コンテンツホルダーがAI企業と個別にライセンス交渉を行う流れは加速している。Getty ImagesのようにStability AIへの訴訟を抱えながら別のAI大手と提携するという動きは、「全面対決」から「ケースバイケースの交渉」へというスタンスのシフトを端的に示している。

「誰が何を所有するか」の議論から、「どう協力し収益を分け合うか」の議論へ——この転換がAI業界全体のスタンダードになるのか、それとも交渉力を持つ大手コンテンツホルダーだけが享受できる構造に終わるのかは、今後の動向次第である。個人クリエイターや中小の権利者にとって同様の選択肢が開かれるかどうかは、依然として未解決の問題だ。


詳細はGetty Images accused AI of wholesale theft. It's now an official ChatGPT image partner.を参照していただきたい。