6月22日、The Next Webが「Chevron Microsoft gas deal to power Texas AI data centre」と題した記事を公開した。この記事では、ChevronとMicrosoftが締結した20年・最大2.67GWの天然ガス発電契約と、その背景にあるAIデータセンターの電力需要問題について詳しく紹介されている。
20年・2.67GW——契約の規模感
ChevronとMicrosoftは、テキサス州西部に建設する大規模データセンター向けの電力供給契約を締結した。発電プロジェクトの名称は「Project Kilby」。場所はパーミアン盆地(世界最大級の油田地帯)の中心部、リーブス郡ピコス市近郊だ。
最終出力は2.67ギガワット。約200万世帯分の電力に相当し、米国内の単一データセンター向け電力源としては最大級となる。初期通電は2028年を予定している。
Chevronはアクティビスト系の独立系エネルギー投資ファンドである**Engine No. 1と共同開発する形を取り、同ファンドはプロジェクトの50%を取得するオプションを持つ。Engine No. 1は2020年の設立以来、エネルギー転換を軸にした株主行動で知られる独立系ファンドであり、Chevronとは別個の組織だ。建設費は非公表だが、4月にBloombergが最初に報じた際、関係者は約70億ドル**と試算していた(※為替レートによる円換算は変動するため本稿では省略)。最終投資判断は2026年末までに行われる見通しで、Chevronは「10代半ば(mid-teen)のリターン」を目標とすると述べている。
オフグリッド設計——「電力網に頼らない」という選択
Project Kilbyの最大の特徴は、テキサスの公共電力網(ERCOT)から完全に切り離されたオフグリッド構成であることだ。発電から消費まで敷地内で完結させる。
ChevronのNew Energies部門プレジデント、Jeff Gustavson氏はその理由をこう説明した。「消費者はすでに急増する電力需要の影響を感じている。私たちはその影響を一切与えないよう、この地域でこの設計を選んだ」。
電力源にはGE Vernova製の大型ガスタービン(7基発注済み)と、Caterpillarの子会社Solar Turbines製のタービンを組み合わせる。GE Vernovaのタービンは通常、受注から納品まで数年待ちのバックログを抱えることで知られる。
パーミアン盆地を選んだ理由は立地にある。石油採掘の副産物として大量の天然ガスが産出されるが、パイプライン容量が追いつかず、現在は余剰分をフレア(燃やして廃棄)している。Gustavson氏は「この国、おそらく世界で最もガスが豊富な盆地だ。このプロジェクトはその廃棄されているガスに需要をもたらす」と述べた。
水資源については淡水ではなくかん水(塩類を含む地下水)を使用。窒素酸化物排出削減のための触媒還元システムも設置する。雇用創出は約2,000人、州・地方への税収貢献は操業期間中に100億ドル超と試算されている。
Microsoftにとっての「化石燃料への転換」
Microsoftはこれまで再生可能エネルギーや原子力への投資を積み重ね、カーボンオフセットを重視してきた。今回の天然ガス契約は、その方針からの明確な転換を意味する。
Microsoft Cloud Operations担当プレジデントのNoelle Walsh氏は「スケールの問題」と位置づけた。「Chevronとの契約により、大規模な専用電力を確保できる」と述べている。Microsoftは2年以内にデータセンターの規模を倍増する計画を持ち、AlphabetやAmazonとのAI競争を加速させている。
天然ガスは安定供給ができ、AIの大規模モデルが必要とするスケールに対応できる。一方で、世界最大級のテック企業が化石燃料と20年間縛られることを意味する。EUがビッグテックに対しデータセンターの気候目標への整合を求めている欧州では、この契約は特に摩擦を生む可能性がある。
背景:米国のデータセンター電力需要
BloombergNEFによると、米国のデータセンター容量は2030年までに77ギガワットへと倍増する軌道にある。この急増はすでに電力網を圧迫し、家庭の電気代を押し上げている。
テキサス州は計画中のデータセンター向け電力プロジェクトが33ギガワットと全米首位(バージニア州を上回る)だが、その多くはまだ計画段階にある。再生可能エネルギーは「サーバーが必要とするとき」ではなく「太陽が照るとき」にしか発電できないという本質的なミスマッチが、化石燃料への回帰を後押しする構造になっている。
Project Kilbyはオフグリッド構成によって、電力網への接続待ち行列と公的な反発の両方を回避している。Gustavson氏が「同業他社の多くがこうしたことを話し合っている。私たちは今、実際にやっている」と述べたように、石油メジャーが原油販売からAI向け電力販売へとビジネスモデルを拡張する動きが本格化しつつある。
詳細はChevron Microsoft gas deal to power Texas AI data centreを参照していただきたい。




