6月28日、The Decoderが「Half of Claude users say AI can already handle half their work according to Anthropic survey」と題した記事を公開した。Anthropicが約9,700人のClaudeユーザーを対象に実施した調査で、AIがすでに業務の半分以上を担えると感じているユーザーが約半数に上るという結果が明らかになった。
調査の背景:Anthropicが問いかけた「AIは今、何ができるか」
Anthropicは現在、Claudeシリーズを中心にAIアシスタント市場で急速に存在感を高めている。OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiと競合しながら、エンタープライズ向け・開発者向けのユースケース開拓を進めている。
こうした商業展開と並行して、「AIは実際にどこまで仕事を代替しているのか」という問いはビジネス界だけでなく社会全体での関心事になりつつある。マッキンゼーやWorld Economic Forumが相次いで「AIによる労働代替が加速している」と警鐘を鳴らす中、Anthropic自身がユーザーの実感値を定量的に把握しようとしたのが今回の調査だ。
調査対象はClaude Chat・Cowork・Codeユーザー約9,700人。Coworkは複数人でのチーム共同作業を想定したClaudeのプラン(日本ではまだ馴染みが薄いが、企業内でのナレッジ共有やドキュメント共同編集に特化した位置づけだ)。Codeはソフトウェア開発者向けのコーディング特化プランにあたる。
「AIが業務の半分を担える」と半数が回答
調査によると、約半数のユーザーが「AIはすでに自分の業務の50%以上を処理できる」と回答した。
内訳は以下の通りだ。
- **33%**:AIが業務の30〜60%を担えると回答
- **14%**:60〜90%を担えると回答
- **約4%**:AIがすでに自分の仕事全体をこなせると回答

現在(グレー)と12ヶ月後(オレンジ)にAIが担えると思う業務の割合。現状は10〜60%が主流だが、1年後は60%超を見込むユーザーが大幅に増加する。出典:Anthropic
さらに12ヶ月後の見通しでは、約26%が「AIが業務の大半を引き受けるようになる」と予測している。ただし調査では、あくまでも「文章を書く」「コードを書く」といった個別タスクを念頭に置いており、タスク間の知識連携や文脈判断など、業務全体の複合的な側面は必ずしも含まれていない点には留意が必要だ。
用途別では「マーケティング・ブログ・DBクエリ」がトップ3

ChatとCoworkでの利用用途。学術論文・プレゼン・DBクエリはほぼ業務・学習目的。レシピ・創作・ゲームは個人利用が大半。出典:Anthropic
業務利用率が高い用途のトップは、データベースクエリ(82%)、ブログ・記事執筆(81%)、マーケティングコンテンツ(80%)の3つだ。これらはClaudeの**Artifacts機能**(チャット返答ではなく、ドキュメントやインタラクティブグラフィックといった具体的な成果物を出力する機能)の利用データに基づいている。
一方、レシピ生成・創作・ゲームといった用途は個人利用が大半を占めており、用途によって業務・個人の使い分けが明確に分かれている。
キャリア段階でリスク認識が分かれる
Anthropicは、AIの進歩スピードに関する期待感は「経験・地域・職種を問わず驚くほど一致している」と述べ、AI能力の広範な向上を「rising tide(上げ潮)」と表現している。この「上げ潮」という言葉にはAnthropicの立場が滲んでいる。すべての船を持ち上げる潮のように、AIの恩恵が特定の層だけでなく広く行き渡るべきだという意識——言い換えれば、AI導入による格差拡大を望まないという姿勢の表明でもある。
一方で、キャリア初期の労働者ほどAIが担えるタスクの割合を高く見積もり、雇用への不安も強いという結果が出た。これは直感と反するようでもあるが、経験の浅い層ほど「自分がまだ習熟していないスキル」をAIに先回りされるリスクを肌感覚で感じ取っているとも読める。実際、入門レベルのコーディング・ライティング・データ整理といった業務は、すでにAIが高い精度でこなせる領域と重なりやすい。
逆に、Claudeのヘビーユーザーは最も楽観的で、「AIによって自分のスキルの価値が高まる」と考える傾向がある。AIを日常的に使いこなしている層は、AIを脅威ではなく自らのレバレッジとして捉えているということだろう。
大多数の回答者は「AIに置き換えられるのではなく、AIと並走して働きたい」と回答。退屈なルーティン業務をAIに任せ、その恩恵を広く分かち合いたいという意識が共通して見られた。
調査の詳細データは原文レポート(PDF)で公開されている。
詳細はHalf of Claude users say AI can already handle half their work according to Anthropic surveyを参照していただきたい。




