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MetaのAIが医療休暇中の社員を解雇リストに優先選出 — 26人が連邦訴訟、「出力量ゼロ=低評価」設計の落とし穴

7月15日、The Next Webが「Meta sued by 26 employees who say its AI systems targeted workers on medical leave for layoffs」と題した記事を公開した。MetaがAIスコアリングシステムを用いて医療休暇中の従業員を優先的に解雇対象に選んだとして、26人の従業員が連邦訴訟を起こした件を詳報している。「出力量ゼロ」の期間がそのままスコアに影響する設計——その構造的欠陥が、米テック業界初とされるAI解雇訴訟の核心だ。「AIが解雇リストを作った」——米テック企業初の訴訟2026年7月14日(月)、Metaの現・元従業員26人がカリフォルニア州オークランドの連邦裁判所に訴状を提出した。訴状は71ページに及び、Metaが5月20日から実施した約8,000人規模の人員削減において、AIシステムが医療休暇取得者や障害を持つ従業員を不当に解雇対象としたと主張している。報道によれば、これは米国の大手テクノロジー企業がAIを用いた人員削減手法を問われた初の訴訟とみられる。どんなAIシステムが使われたのか訴状...

7月15日、The Next Webが「Meta sued by 26 employees who say its AI systems targeted workers on medical leave for layoffs」と題した記事を公開した。MetaがAIスコアリングシステムを用いて医療休暇中の従業員を優先的に解雇対象に選んだとして、26人の従業員が連邦訴訟を起こした件を詳報している。「出力量ゼロ」の期間がそのままスコアに影響する設計——その構造的欠陥が、米テック業界初とされるAI解雇訴訟の核心だ。

「AIが解雇リストを作った」——米テック企業初の訴訟

2026年7月14日(月)、Metaの現・元従業員26人がカリフォルニア州オークランドの連邦裁判所に訴状を提出した。訴状は71ページに及び、Metaが5月20日から実施した約8,000人規模の人員削減において、AIシステムが医療休暇取得者や障害を持つ従業員を不当に解雇対象としたと主張している。

報道によれば、これは米国の大手テクノロジー企業がAIを用いた人員削減手法を問われた初の訴訟とみられる。

どんなAIシステムが使われたのか

訴状が名指しするMetaの内部システムは以下の通りだ。

  • Metamate:Meta社内向けの大規模言語モデル(LLM)アシスタント
  • "セカンドブレイン"エージェント:従業員が個人的にトレーニングしたAIエージェント
  • AIトークン使用量ダッシュボード:Metamate等への入力・出力量を記録・可視化するツール
  • キーストローク・マウス操作・画面内容などの活動モニタリングデータ
  • アルゴリズムによる業績ランキング

問題の核心は、これらシステムがアウトプット量を評価指標としている点だ。医療休暇で離席していた期間はそもそもデータが存在しない。そのため、休暇取得者は構造的に低スコアとなり、解雇リストに優先的に載る仕組みになっていたと原告側は主張する。

監視プログラムの存在も明るみに

訴状はさらに、Metaが2026年前半に社給デバイス向けの監視プログラムを展開していたと主張している。このプログラムはキーストローク・画面内容・マウス操作・ブラウザ履歴・メッセージ・メール・位置情報を収集していたとされる。

問題視されているのはその周知方法だ。訴状によれば、このプログラムの導入は「シニアリーダーではなく、一エンジニアによる目立たない社内投稿」を通じて告知されたものであり、少なくとも一部のチームでは同意プロンプトも表示されなかったという。収集データはAIツールの構築にも活用されたとされる。

原告の構成と法的根拠

26人の原告は全員が匿名で提訴しており、共通点は過去24カ月以内に何らかの保護された休暇を取得、申請、または承認されていたことだ。カリフォルニア、ニューヨーク、フロリダ、イリノイ、ペンシルバニア、ワシントンの6州とコロンビア特別区に在住する。

訴因として挙げられているのは以下の連邦・州法の違反だ。

また、MetaがAIシステムの雇用判断における偏向テストを実施していなかったとして、カリフォルニア州およびニューヨーク市のAI雇用規制法への違反も主張している。なお、ニューヨーク市については2023年施行のLocal Law 144が採用選考・昇進判断へのAI活用に対して第三者監査を義務付けており、今回の訴状はその適用範囲を問う事例としても注目される。

原告は7月22日に予定されている解雇の差止め(仮処分)を求めており、並行して個別の仲裁手続きを進める方針だ。担当判事はカリフォルニア北部地区連邦地裁のWilliam Orrick判事。

Metaの反論

Meta広報担当者は「主張には根拠がない」と述べ、「人員管理と組織上の意思決定は、AIではなく人間が行ってきたし、現在もそうだ」とコメントしている。

背景:AI解雇は世界的な法整備の空白地帯

企業がアルゴリズムや機械学習を人事判断に活用する動きは急速に広がっているが、既存の雇用法がAIによる意思決定にどこまで適用されるかは、各国の裁判所・規制当局が現在進行形で議論している領域だ。本件はその試金石となる可能性がある。

エンジニアの立場からは、「出力量=生産性」という前提でシステムを設計する際のリスクが改めて問われている事例でもある。医療休暇のような保護された不在期間がスコアに影響する設計は、意図せず差別的な結果を生む——今回の訴訟はそのリスクを法廷の場に持ち込んだ。

詳細はMeta sued by 26 employees who say its AI systems targeted workers on medical leave for layoffsを参照していただきたい。