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中国「米国もAIモデルを蒸留している」と真っ向反論 — 知的財産か合法的手法か、線引き曖昧なまま米中が制裁合戦へ

7月27日、パキスタン発の国際ニュースメディアThe News Internationalが「China vs US tech rivalry escalates as Beijing accuses Washington of 'AI hegemonism and distillation'」と題した記事を公開した。中国政府が米国によるAIモデルの蒸留行為を「AI覇権主義」と非難し、制裁への対抗措置を警告した一連の応酬を詳報している。

7月27日、パキスタン発の国際ニュースメディアThe News Internationalが「China vs US tech rivalry escalates as Beijing accuses Washington of 'AI hegemonism and distillation'」と題した記事を公開した。中国政府が米国によるAIモデルの蒸留行為を「AI覇権主義」と非難し、制裁への対抗措置を警告した一連の応酬を詳報している。


「蒸留」を巡る米中の応酬

事の発端は、ホワイトハウスのAI顧問マイケル・クラッツィオスが中国のAIスタートアップMoonshot AI(ムーンショット)によるAnthropicの技術盗用疑惑を公に批判したことだ。Moonshotが開発した「Kimi K3」モデルは、AnthropicのAI「**Claude」から大規模な蒸留(distillation)**によって構築されたとの疑惑がある。

蒸留とは、大規模な既存モデル(教師モデル)の出力を使って、別のモデル(生徒モデル)を効率的に学習させる手法だ。正規のAPI利用であっても、大量のクエリを通じて元モデルの知識や能力を模倣するモデルを構築できてしまうため、知的財産侵害との境界が問題になっている。

Anthropicは2月の時点で、MoonshotのClaudeへのアクセス試行が340万件以上に上ることを確認済みだとされている。推論、コーディング、データ分析、ツール利用、コンピュータービジョンといった機能を標的とした数百の不正アカウントが使われた疑いがあり、さらにMoonshotは検知を回避するために複数の手法を切り替えながら大規模蒸留を実行する高度な内部プラットフォームを構築していたとも報じられている。


DeepSeek問題との連続性

Kimi K3をめぐる疑惑は、突然出てきた話ではない。2025年初頭、中国のAI研究機関DeepSeekが開発した「DeepSeek-R1」が世界的な注目を集めた際にも、OpenAIのモデルへの不正アクセスや蒸留疑惑が浮上し、OpenAIが調査に乗り出したことが報じられた。OpenAI自身も「中国の関係者がAPIを通じて大量のデータを抽出した可能性がある」と声明を出している。

つまり今回のMoonshot疑惑は、DeepSeekのケースと構造的に酷似しており、「中国企業による米国モデルの蒸留」という問題が一過性の事件ではなく、米中AI競争における構造的な摩擦点になりつつあることを示している。蒸留という手法の性質上、API利用規約違反の立証は難しく、法的グレーゾーンが温存されたまま事態が繰り返されている。


中国側の反論:「米企業も中国モデルを蒸留している」

これに対して中国商務省は真っ向から反論した。

「多くの米国AI企業が、研究・開発・学習プロセスにおいて中国モデルを蒸留していることが確認されている」
— 中国商務省声明

中国側は、米国の主張は「事実的根拠も法的根拠も欠いており、二重基準を採用している」と批判。クラッツィオスやベッセントの発言を念頭に、こうした行為を「AI覇権主義(AI hegemonism)」と位置づけ、中国の利益に実質的な損害をもたらすいかなる行為に対しても「必要なあらゆる措置を講じる」と警告した。

中国側の反論が指摘するように、蒸留は米国企業も広く使う技術であり、「誰がやれば合法で、誰がやれば盗用か」という基準が国際的に確立されていないことが、この問題をより複雑にしている。


エンティティリスト追加という現実的脅威

米財務長官スコット・ベッセントは、知的財産の秘密裏な窃取に関与した中国企業に対して、金融制裁および商務省の**エンティティリスト**への掲載を警告している。

エンティティリストに掲載されると、米国の半導体・ソフトウェア・クラウドサービスへのアクセスに厳しい制限が課される。HuaweiSMICが過去に掲載されて受けた打撃を考えると、Moonshotにとっては事業継続に直結する深刻な措置となりうる。なお、記事公開時点でMoonshotがエンティティリストに実際に掲載されたかどうかは確認されておらず、現状は警告段階にとどまっている。


技術覇権争いの新たな火種

今回の応酬が示すのは、AI開発における知的財産の扱いが米中対立の新たな主戦場になったという事実だ。蒸留という技術的手法の性質上、「正規利用」と「盗用」の線引きは本質的に曖昧であり、DeepSeekのケースを含め、類似の疑惑が繰り返し浮上しても法的・外交的決着がつかないまま推移している。

双方が「相手も同じことをしている」と主張する構図は、蒸留をめぐる国際的なルールが未整備であることを露わにしており、今後のAI規制交渉や貿易摩擦に波及する可能性がある。AI開発の主導権争いが技術競争から法的・外交的衝突へと拡大する流れは、当面続きそうだ。

詳細はChina vs US tech rivalry escalates as Beijing accuses Washington of 'AI hegemonism and distillation'を参照していただきたい。