6月27日、Chloe Aielloが「The Eye-Popping Salaries Behind Anthropic's AI Hiring Spree Include $1.3 Million for 'Technical' Roles」と題した記事を公開した。H-1Bビザのスポンサーシップ申請書類の分析から、Anthropicの技術職で最大138万ドルに達する給与水準が明らかになった。元記事タイトルは「$1.3 Million」と表記しているが、Business Insiderが精査した申請書類上の上限値は138万ドル($1.38M)であり、本稿では実際の申請書類に記載された数字に基づいて紹介する。
技術職の年俸、最大138万ドル
Business Insiderの調査報道がAnthropicのH-1Bビザスポンサーシップ申請書類を分析した結果、同社の給与水準が具体的な数字で浮かび上がった。
最も目を引くのが「テクニカルスタッフ(Technical Staff)」の給与レンジだ。下限が約13万4,000ドル、上限が138万ドルと、同一職種カテゴリ内での幅が極めて広い。テクニカルマネージャーも下限はテクニカルスタッフと同水準で、上限は85万ドルに達する。
その他の職種の上限値をまとめると以下のとおりだ:
- 強化学習(Reinforcement Learning)リサーチャー:約11万3,000〜50万ドル
- プロダクトオペレーション:最大50万ドル
- リサーチオペレーション・テクニカルセールス:最大50万ドル
- プロダクトデザインマネージャー:約14万〜38万5,000ドル
- アカウンティング(経理):最大23万ドル
- マーケティング:最大20万ドル
なお、これらはあくまでもベースサラリーのみの数字である。ストックオプションやその他の福利厚生は含まれていない。
株式報酬が「本当のボーナス」
ベースサラリーだけでも破格だが、Anthropicで働く最大のインセンティブの一つは株式だ。同社の企業評価額は現在9,650億ドル(約1兆ドル)に迫る水準にあり、株式報酬の潜在的な価値は相当に大きい。
CEOのDario Amodeiは、社員の定着率が高い理由について「使命への真の信念と、株式の上昇益への期待が混ざり合っている」と別のBusiness Insiderの取材でコメントしている。
H-1Bビザ申請が映す「AIタレントウォー」の現在地
今回の給与データはH-1Bビザのスポンサーシップ申請から得られたものであり、あくまで海外人材の採用に関する情報に限られる。ただし、この数字はAIタレント争奪戦の激しさを示す指標として読むことができる。
H-1Bビザは、米国外の高度専門人材を雇用する際に企業がスポンサーとなる就労ビザ制度だ。米国家政策財団(NFAP)が2025年2月に発表したレポートは、「AIで優位に立つための取り組みが、大手テック企業のH-1Bビザ採用を後押ししている」と指摘している。2025年度の承認件数では、Amazon、Meta、Microsoft、Googleが上位4社を占めた。
Anthropicは近年、GoogleやOpenAIからも著名な研究者を引き抜いている。OpenAIの初期主要メンバーであり、元TeslaのAIリードでもあるAndrej Karpathyの採用はその代表例だ。なお、Karpathyは一般にOpenAI「共同創業者」と紹介されることもあるが、正確には初期の主要研究者として同社の立ち上げに参画した人物である。
給与レンジの幅が示すもの
申請書類における職種の記述は概括的なものが多く、同一カテゴリ内でも給与の幅が極めて広い。「テクニカルスタッフ」という括りで13万ドルから138万ドルまで存在するのは、職種の定義が曖昧である側面もあるが、同時に交渉力やスキルセット次第で報酬が大きく変わる実態も反映している。
AIエンジニアリングの市場において、強化学習や基盤モデルの開発経験を持つ人材への需要は依然として高い。今回の開示データは、その需要が給与水準に直接反映されていることを裏付けるものだ。
詳細はThe Eye-Popping Salaries Behind Anthropic's AI Hiring Spree Include $1.3 Million for 'Technical' Rolesを参照していただきたい。




