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PerplexityがAI法律アシスタント「Computer for Counsel」を公開 — WestlawやLexisNexisを置き換えるのではなく、その「周辺作業」を自動化する

6月27日、Michal Sutterが「Perplexity Launches Computer for Counsel: A Multi-Model Agentic Layer for Legal Workflows」と題した記事を公開した。Perplexityが2026年6月24日にリリースした法律チーム向けマルチモデル・エージェントシステム「Computer for Counsel」は、すでにGunderson Dettmerで弁護士の80%が積極利用し、月間3万5000件超のクエリを処理している。WestlawやLexisNexisを置き換えるのではなく、その「周辺の反復作業」を自動化するという明快なポジショニングが特徴だ。

6月27日、Michal Sutterが「Perplexity Launches Computer for Counsel: A Multi-Model Agentic Layer for Legal Workflows」と題した記事を公開した。Perplexityが2026年6月24日にリリースした法律チーム向けマルチモデル・エージェントシステム「Computer for Counsel」は、すでにGunderson Dettmerで弁護士の80%が積極利用し、月間3万5000件超のクエリを処理している。WestlawやLexisNexisを置き換えるのではなく、その「周辺の反復作業」を自動化するという明快なポジショニングが特徴だ。


「Westlawの代替」ではなく、その周辺の作業を狙う

Perplexityが明言しているのは、WestlawやLexisNexis、Bloomberg Lawを置き換えることが目的ではないという点だ。「Computer for Counsel」は、既存の法律データベースの上に乗るリサーチ・起案・ワークフロー層として設計されている。

Thomson Reutersの調査では、弁護士の約75%が「管理業務が大きな時間的課題」と回答している。Computer for Counselが標的にするのはまさにそこだ。判断や戦略は弁護士が持ち、繰り返し発生する事務的・補助的な作業をエージェントに委ねる構造になっている。

現時点での利用対象はPerplexity EnterpriseおよびMaxサブスクライバー


20以上のモデルを自動ルーティングするアーキテクチャ

技術的な核心はマルチモデル・オーケストレーションにある。

システムは法律タスクを複数のサブタスクに分解し、それぞれに最適なモデルとデータソースを自動で割り当てる。リサーチ、推論、契約書レビューで異なるモデルが動き、20以上のフロンティアモデルをシングルベンダーへの依存なしに活用できる。モデルプールは継続的な評価によって更新される。

ツールとの接続は**MCP(Model Context Protocol)で実装されている。MCPはAIシステムと外部ツール・データを接続するためのオープン標準で、管理者が社内システム向けのカスタムMCPコネクタを追加することもできる。400以上のツール**に接続可能で、Microsoft 365やGoogle Workspaceも対象に含まれる。

出力はすべてソースへのリンクを持ち、弁護士が引用を1クリックで確認できる設計になっている。


データ層:主要コネクタと対応状況

法律業務に特化したデータソースが複数接続されている。

ソース / コネクタ 概要 対応状況
Midpage 米国判例法(連邦・州控訴審)、法令、判例の現在の有効性を確認できるCitator 全ユーザー向け無制限(@midpageで起動)
Deel 150カ国以上の労働者分類・移民・越境給与データ 無料・制限あり
LegalZoom 顧客契約書・雇用契約・NDAテンプレート(Perplexity独占) 近日公開
Docusign 契約履歴・電子署名ワークフロー 利用可能
NetDocuments / Box セキュアなファイル管理と法的コンテキストグラフ 利用可能
DeepJudge 事務所の過去業務・確立済みポジションに基づく出力の根拠付け 利用可能
Carta / Ironclad キャップテーブル・409Aデータ/契約リポジトリ検索 Cartaは利用可能、Ironcladは近日公開
Clio(Vincent) 100以上の法域・10億以上の法律ソースへの引用付き回答 近日公開

具体的なワークフロー例

現在動作が確認されているエージェントパターンは以下の3つだ。

  • サードパーティNDAの受領処理:Computer for CounselがNDAをレビューしてリスク箇所を検出し、署名者・法人情報を補完してクリーンコピーを作成。Docusign経由で承認・署名フローに回す。
  • 規制モニタリング:米国各州のプライバシー法・アドテク規制の状況を集約したダッシュボードを自動生成し、各州の施行状況をMidpageの判例で根拠付ける。
  • 競業避止条項の調査:2024年FTCによる競業避止条項禁止令以降の執行可能性を調査し、重要判例のサマリーと未確定事項のフラグを立てたPDFを出力する。

開発者向け:基盤となるSonar API

Computer for Counsel自体はSDKとして提供されるものではないが、その基盤にあるPerplexityの引用付き検索プリミティブは**Sonar API**として公開されている。OpenAI互換で、すべての回答にソースが付く。search_domain_filterでグラウンディング対象ドメインを絞り込めるため、信頼できるソースに限定した調査が可能だ。

# Perplexityの引用付き検索プリミティブ — Computer for Counselの基盤となるもの
# これはComputer for Counsel製品ではなく、公開Sonar APIである
import os, requests

resp = requests.post(
    "https://api.perplexity.ai/chat/completions",
    headers={"Authorization": f"Bearer {os.environ['PERPLEXITY_API_KEY']}"},
    json={
        "model": "sonar-pro",
        "messages": [
            {"role": "user",
             "content": "Is a non-compete signed in California enforceable in 2026?"}
        ],
        # 信頼できるソースに限定してグラウンディング
        "search_domain_filter": ["law.cornell.edu", "courtlistener.com", "ca.gov"],
    },
    timeout=60,
)
data = resp.json()
print(data["choices"][0]["message"]["content"])   # 回答
for url in data.get("citations", []):              # 検証用のソース一覧
    print("source:", url)

citationsフィールドで根拠ソースが返る構造が、Computer for Counselにおけるモデルルーティング・MCPコネクタ・レビューステップの土台になっている。


競合との位置づけ

法律AIの領域にはすでにHarveyやMicrosoft 365 Copilotが存在する。Perplexityの比較表では以下のように整理されている。

観点 Computer for Counsel Harvey Westlaw / LexisNexis Microsoft 365 Copilot
主な役割 ワークフロー+調査層 法律特化プラットフォーム 調査データベース 生産性アシスタント
モデル戦略 20以上・自動ルーティング マルチモデル・自動ルーティング 独自スタック Microsoft+パートナーモデル
有効判例確認(Citator) Midpage経由 対象外 ネイティブ(KeyCite / Shepard's) なし
ソースリンク付き出力 全回答 あり あり 一部
社内ファイルへのアクセス 400以上のMCPコネクタ コネクタ+ストレージ 限定的 Microsoft 365+コネクタ

マルチモデルルーティング自体はHarveyも実装しており、差別化要因としては薄くなっている。記事が差別化ポイントとして挙げるのは、オープンウェブと日常的な業務ツールへのリーチだ。


強みと制限、そして訴訟リスクという文脈

強みとして挙げられているのは、シングルベンダーへの依存低減、全出力のソースリンク、400以上のMCPコネクタ、企業データを学習に使わないEnterpriseポリシー、そして実績としてGunderson Dettmerでは弁護士の80%が積極的に利用し、月間3万5000件以上のクエリが処理されていることだ。

一方で制限も明記されている。Citatorとしての機能はMidpageのカバレッジに依存し、CartaやIroncladなどのコネクタは未公開。ペイウォール下や未公開の判例はウェブグラウンディングで拾えない可能性があることも課題として挙げられている。

加えて、Perplexityが未解決のデータソーシング訴訟を抱えていることも制限の一つとして明記されている。これはウェブ上のコンテンツを学習・引用に利用することに対して複数のメディア・出版社が著作権侵害を主張している問題で、The New York Timesなど大手メディアがAI企業を相手取った一連の訴訟と同じ文脈に位置する。法律事務所がComputer for Counselを導入する際には、ソースの信頼性やライセンス上のリスクという観点でも、このデータソーシング問題を考慮する必要があるだろう。


詳細はPerplexity Launches Computer for Counsel: A Multi-Model Agentic Layer for Legal Workflowsを参照していただきたい。